週イチ日記
2010.10.18
無題
先日、テレビで「グッバイ・レーニン」という映画を観ました。東西ドイツが統一された直後のベルリンに住む母と息子の物語です。
統一の結果、旧東ドイツ地域に西側の資本が津波のように流れ込み、経済は混乱し、人々の生活は一変してしまいます。街にはコカコーラとかイケアとかの、かつて敵視した資本主義の象徴のような企業の広告が溢れ出し、解体されたレーニンの銅像はヘリで曳航され、誰しもが新しい時代の到来を肌で感じるようになります。しかし息子は、社会主義を心より信奉する母の余命がいくばくもないことを知り、統一の事実を何とかして母から隠そうとします。心穏やかな余生を過ごしてもらいたいという一心で。
この映画は「親孝行しないとダメだぜ!」みたいな教訓的な感じではないのですが、それでも僕は以前友人が言っていたことを思い出しました。「例えば盆と正月と、なんやかんやで一年に10日くらい親に会うとして、親の寿命があと20年としたら、もう200日しか親に会う時間がないんやで。結構少ないよな」と。その時は、まあそんなもんじゃないの?と思いましたが、確かに少ないような気がしてきました。そういえば最後に両親に会ったのはいつのことだったか…
翌日、電車に乗ること1時間。久しぶりに実家に行きました。近くまで来たからちょっと寄ってみた、という感じで。 ところが家にいたのは妹だけでした。両親の所在を尋ねると、父は山にゴルフに、母は街に習い事に行ったそうです。帰りを待っていようかと思ったけど、猫が「フッー!」と怒りだしたので(僕のことは忘れてしまったようです…)、何だか居心地が悪くなって帰ることにしました。
まあ元気で楽しそうにやっているみたいで良かったと思いながら、ふと空を見上げれば、刷毛で掃いたようなうろこ雲が。
会えずとも
同じ空かな
うろこ雲
何となくポエムな気分になった秋の休日でした。