週イチ日記

2014.03.31

0%

 朝の冷え込みがやわらいできて、夜明けの時間がどんどん早くなり、太陽の昇る方角もかなり変化してきました。朝焼けの美しさに魅せられ、その写真を撮るのが楽しみの一つになっています。一日として同じ表情の空に出会うことはなく、その確立は0%です。
 私たち家族には、0%を願うことが一つあります。この春休み、息子が手術を受けました。時々出ていた高熱の原因と分かった、泌尿器系にかかえる小さなトラブルを改善させるための手術です。手術は成功しましたが、5時間を越える手術。手術前には、心の奥底にはやはり大きな不安がありました。手術室へ続く廊下、扉の向こうに扉、その向こうにも扉。すでに眠った状態で運ばれて行く息子。「よろしくお願いします」と頭を下げて祈ることしかできないこの無力感。長い長い、今までに経験したことのない程長い6時間余りでした。妻も私も何か会話を交わすのが苦しく、それぞれ別のことで気を紛らしていました。看護師さんに呼ばれ、迎えに行く私たち。扉の向こうの扉のまた向こうの扉から、半覚醒で、ストレッチャーで運ばれてくる息子。そうです。この子がこの世に生を受けた時の、あの感覚に似ています。涙があふれました。ほんの少しのことで不完全だったこの子の体を、この医師や看護師さん達が完全にしてくれました。二度目の生を受けたような気持ちです。3年くらいに渡って、息子を定期的に診てくれていた医師が、手術前に言いました。「再発率0%目指して手術をします」。世の中に0%がないことは分かっていますが、息子もその言葉に勇気づけられました。言葉の力は偉大です。
 息子は今、術後入院中です。術後の痛みも、ようやく和らぎ、笑顔が戻ってきました。医師や看護師さんがかけてくれた言葉の数々。こんどは私達や息子が他者にかける番です。そうやって巡るものだと思います。言葉は、人を非難したりののしるためのものではありません。喜びを分かち合い、励まし合い、ともに生きるためのものです。病院食をほおばる息子を見ながら、そんなことを考えました。

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